
強制捜査
2017年5月19日。
午前9時、マンションのインターホンが鳴った。
カメラには黒スーツの集団。カメラ越しから無言の圧力・・・
――国税局、強制捜査。容疑は「所得税法違反」いわゆる脱税。
カメラを見ながら俺はただ一言、心の中でつぶやいた。
「……ようやく来たか(笑)」
もはや驚きなんてなかった。想定内。むしろ清々しかった。 世間の目は冷たい。
知人たちはこう言った。
「なぜ税金を払わなかった?」
「経営者として失格だな」
「金が欲しかっただけだろ?」
「銀座で飲みまくってんだろ?」
……そんな連中の勝手な想像には、もう飽き飽きだ。
俺は一度も高級車なんか買ってないし、ロレックスにも興味がない。
銀座のクラブで夜遊びする趣味もない。
俺が金を注ぎ込んだのは、
すべて――“事業”だった。
思い返せば18年前。
AVメーカーの事業を展開していた俺の会社は、業績悪化の波に飲まれた。
銀行に融資を求めても門前払い。
晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる
「AVメーカーへは銀行の規約で融資できません」
――その一言で終わり。
結果、会社は倒産。
15年間で100億円の売上を上げ、1億円以上の税金を納めていたにも関わらず、それが、税金というシステムへの不信と反発へと変わった。
そこから俺は出会い系アフィリエイトと、
出会い系サイトの運営で再起。
たった4年で24億円の売上を叩き出した。まさに、不死鳥のような復活。
……でも。問題はここからだ。
ちゃんと申告したら、納税額はとんでもない金額になる。
出会い系はアダルトに分類されるため、会社が傾けば、銀行はどうせ助けてくれないことは分かっていた。
それならば――
子会社に資金を貸し付け、将来に投資する方がよっぽど利口だ。
当時も政治家の裏金は問題になっていた。
政治家が裏金作ってんのに、なんで俺だけ真面目に払う必要がある?
俺の会社を助けてくれなかった国のシステムに対して“復讐心”すら芽生えていた。
俺は、税金なんて払わない。
そう決めた。
東京地検特捜部に逮捕
そして、現実は動いた。
東京地検特捜部が動き、俺は逮捕、起訴された。
取り調べでは特捜部と毎回バチバチに言い合い。
「税金も罰金も払わねえよ。刑務所に入れりゃいいだろ」
……そんな調子だったから、印象は最悪だっただろうな。
でも、保釈中に俺はふと、こう思った。
「これ、ネタにできんじゃね?」
どうせ刑務所に入るなら、
中でアフィリエイトを始めて稼いじまおう。
それを実話として発信すれば、むしろブランドになる。
刑務所で稼いだアフィリエイターなんて聞いたことないだろ?
そして迎えた判決。
懲役4年・執行猶予なし、罰金8000万円(日当20万円労役400日)――確定。
日当20万円もらえるなら喜んで行ってやる。俺は、刑務所へ。
その結果……
月10万円のアフィリエイト報酬が発生し、
5年間でトータル約500万円を獄中から稼ぎ出した。
構想10年、遂に実現!
ジャンルは、ライブチャット。
出会い系運営をしていた俺にとって、
「次に来るのは何か」を探る、最高のリサーチだった。
そして今――その蕾が、
10年の時を経て、ようやく花開こうとしている。
ここまで来たら、もう一度“伝説”を作ってやる。